
さぁ! 寄ってらっしゃい、見てらっしゃい!
右は未来へ、左は過去へと繋がる不思議なドアだよ。
明日のアンタを覗いてみたくないかい?
あの日あの時あの人との時間を取り戻してみたくないかい?
ただね、ここにはもう二度と戻ってこられない。
それでもいいなら
さぁ、ドアを開けてごらん…

家のそばに、ふたつの山羊小屋がある。
夜と昼とお構いなしに、やつらはめぇめぇ、エサをくれと鳴く。
甲高く可愛い声が聞こえてきた。
中の様子は伺えないが、おそらく子ヤギだろう。
本能なのか、隣で鳴く親と同じように、可愛い声でやっぱりめぇめぇと鳴く。
そんな声が、ぴたりと止む時がある。
ここでは、祝いの席で山羊を潰し、汁にする。
やつらの声が消えたとき。
それは、彼らが天寿を全うした時であり、
飼い主の周りで、大変めでたい祝いがあった、かりゆしの夜である。